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2013年2月 7日 (木)

食べ物と料理(1) Food and cooking(1)

<人はなぜ料理をするのか?>

 昨年の年末に面白い本を見つけました。そこには、こんなことが書いてありました。少し長くなりますが、読んでみてください。。。
 

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 初期の文化人類学者、エドワード卿は、生のものだけを食べて生活する文化が存在するかどうかを初めて世に問うた。1870年、彼は食物を調理しない文化は存在しないと結論付けた。たとえ北極のイヌイット族であれ、狩りに出ているときは生肉を食べても、夜ともなれば一家の主婦は家族のために暖かい夕食を用意する。

 人はなぜ料理をするのか?この興味深い質問に1960年代、文化人類学者のクロード氏は、料理は心理的な問題に過ぎないと論じた。料理をすると、他の生物の食物とは異なる、人間独特の「食事」に変化するため、人間らしさを実感できるが、それ以外には生のものより調理したものが優れている点は無いとする、いささか極端な意見である。

 一方で、有害な細菌が死滅し、毒素が壊れ、味わいと食感が増すから調理をするのだという実際的な意見もある。確かにそのとおりだが、実はそれ以上に大きな影響力を持つ単純な事実が、最近まで見過ごされてきた。すなわち、料理をすると、食べ物からより多くのエネルギーを得られるという事実である。

 料理で食物のカロリーが増加する理由のひとつとして、栄養素が消化しやすい形になることがあげられる。例えばでんぷん。でんぷんは生命維持には欠かせない糖質で、人は一般にカロリーの半分以上をでんぷんからとっているが、でんぷんの中には非常に消化されにくいものもあり、生で食べても大して栄養をとることは出来ない。これはたんぱく質も同じで、生のままでは緊密な構造がほぐれず、やはり消化しにくいものである。これらを料理することにより、でんぷんの長い鎖がほどけて糖となり消化しやすくなったり、肉のアミノ酸が露出して消化酵素の影響を受けやすくなる。

 ほとんどの動物は、生のものより調理したものを好む傾向がある。また、調理した食物を食べると確実に体重が増える。例えばペットとして飼育される猫や犬は、調理や加工をされたエサを食べるため、人間と同じように肥満のリスクを負う。一方、手っ取り早いダイエットの手段として、すべての食物を生のまま食べる方法もある。

 ただし、誤解してはいけないのは、人類の身体は生のものを食べる生活には適応していない。例えばチンパンジーやゴリラに比べると、腸が短すぎるのである。このため、彼らと同じような繊維質の食物を生で食べると栄養失調を起こす。

 実験をすると、チンパンジーやゴリラのような類人猿も、調理した食物を好む。おそらく人類の祖先も、火を制御できるようになってすぐに料理を始めたのであろう。繊維質の根・苦い種子・硬い肉塊も、炭火であぶるだけで柔らかくて噛み砕きやすく美味しくなり、消化が良くなってエネルギー量が高まる。この結果、狩猟採集生活も、より広範囲で長時間行うことが可能となり、寿命が延び、出生率が上がり、脳の発達も促される。このように、料理が人類に与えた影響は絶大なものがある。
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 私たちも生の素材よりも調理した食物の方が美味しいことを経験的に良く知っていますので、生肉よりも鉄板の上でじゅうじゅう音を立てるステーキに食欲を感じたり、生のおコメよりも炊き立てのご飯に惹かれたりするわけです。そういう意味では、日本の寿司や刺身は、ちょっと特殊な料理になるのかもわかりません。

 調理された食物に食欲を感じるという現象は、かなり経験に左右されます。例えばこのような鯛の尾頭付きの焼き魚。私は大好きなんですが、私の知っている外国人は拒否反応を示しました。刺身や寿司は喜んで食べていましたが、頭の付いた魚はたとえ火が通っていてもだめ。全く受け付けなかったです。

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 一方、彼女はこれは全く平気、というよりも大好物のひとつでした。「チラガー」という沖縄の食材で、リアルな姿をした豚の頭の皮です。コラーゲンたっぷりで肌に良いなどと言いながら食べてました。彼女の祖国では、祝い事の際に豚の丸焼きを食べる風習があるので平気なんでしょうが、普通の日本人女性であれば、あまり食欲は湧かないでしょう。

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 どんな料理を好むか、どんな料理に食欲が湧くかは、その人の経験・年齢・文化的背景などによって変わってきます。また、同じ地域でも時代とともに変化して行くのだと思います。このような「食べ物」と「料理」に関する興味深い事柄を、何回かに分けて述べてみたいと思います。。。

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