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2013年2月10日 (日)

食べ物と料理(2) Food and cooking(2)

 麺類。実に面白い食べ物です。日本では小麦・蕎麦・米などを製粉し、水などを加えて練り、細長い形に加工した食品のことを言います。

 ところが海外では少し事情が異なっており、中国では「麺」といえば小麦粉のことを指します。このことは「麺」という漢字に「麦」の字が含まれていることから見てもわかります。従って中国では餃子や焼売は麺の一種ですが、蕎麦や春雨は麺ではありません。米の粉を練った春雨やビーフンなどは、「粉(フェン)」と呼ばれます。確かに「粉」の字には「米」が含まれています。

 ヨーロッパの麺類王国であるイタリアではどうなんでしょうか?イタリア語で言う「pasta(パスタ)」は、粉食、穀物加工食品全般を指します。このため、ロングパスタ(いわゆるスパゲティ)以外に、マカロニ、ペンネ、コンキリエ、ラビオリ、ラザニア、ピザや、場合によってはパンまでも含まれます。ちなみにイタリア語の「パスタ」は英語の「ペースト」やフランス語の「パテ」と同じ語源で、ラテン語の「pasta(生地、練り物)」に由来します。すなわち、最も守備範囲の広いのがイタリアで、材料が小麦粉であることにこだわるのが中国、細長い形状にこだわるのが日本といえるでしょう。

 さて、麺類となると、私のような関西人はうどん、それもきつねうどんがベストです。写真のきつねうどんは、私が単身赴任をしていた頃に自分で作ったもの。とじ卵を入れたりしてみました。

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 ところが同じ関西人である私の母親は、蕎麦を好みます。それもにしんそば。私も嫌いではないんですが、そんなに食べたいとも思いません。きつねうどんと比べると、優先順位は明らかに低いです。これは京都に特に多い蕎麦。母親は京都人なので、この食べ物を好むんだと思います。ご存知でない人のために説明しますと、関西風の薄味のかけそばに身欠きにしんの甘露煮をどお~んと載せたもので、京都市内の蕎麦屋などでは、いろんなメニューの中で最も高価な場合が多いです。

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 これに対し、私の二人の娘は明らかにスパゲティ派。特に昼食には何が食べたいか聞くと、ほとんどと言っていいほどスパゲティという答えが返ってきます。ちなみにこれも私が作ったもので、たまたま山に行ったときにたらの芽がたくさん採れたので、たらの芽・海老・しめじ・にんにくで仕上げました。味付けのベースは顆粒状のコンソメスープの素です。

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 最近、私も歳のせいか蕎麦に惹かれるようになりました。長野県や山形県などの手打ち蕎麦。非常に清々しい食感で、これらの地方を訪れたときには、たいてい蕎麦屋の暖簾をくぐります。食べた後の蕎麦湯も最高です。

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 ところで、これらの麺類、本来であればとてつもなく手間の掛かった料理ではないかと思うんです。すなわち、農耕によって穀物を育てて収穫し、その穀物を粉に挽き、水を加えてこね、長く伸ばして熱を加え、様々な味付けをほどこし、副菜を添え・・・人類が作った様々な種類の料理の中では、かなり広範囲に分布し、しかもかなり手間が掛かっています。いずれの麺料理も、人類の英知と努力がぎっしりと詰まった、料理という行為の象徴のような食べ物ではないかと思います。ある意味、文化遺産。。。

 さて、前回ご紹介した昨年末に買った面白い本。最近、料理そのものの本質が変化していると書いてあります。要約すると以下のとおりですので、これも読んでみてください。

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 アメリカのデレビ番組「アイアン・シェフ・アメリカ」は、非常に人気のある番組である。有名料理店のシェフ同士が、与えられた食材を用いて1対1で勝負し、最高の料理を作った方に軍配が上がるという趣向である。つまり、スポーツと同じように観戦する対象に仕立て上げられている。

 そもそも、何故私たちは他人が料理するところを見たいと思うのであろうか?調理とは様々な素材を使って、単純に足し合わせた以上に美味しい料理を作り出す、魔法のような行為であり、優れた料理人の技には抗いがたい魅力がある。

 しかし、もし本当に料理からそれほどの満足感が得られるなら、もっと料理をするようになるはずである。アメリカでは随分前から、仕事にかける時間が増えた分、家庭で過ごす時間が圧迫されるという状況が一般化していた。一方、今でもきちんと料理を作って暮らしている国では、調理に手間をかけられるだけの時間のゆとりがある。

 アメリカ人女性が調理にかける時間は、働きに出ているかどうかにかかわらず1965年から2010年の間に約6割も減少し、半分以下となった。食品メーカーが調理済みの食べ物を提供してくれるなら、それを食卓に載せてもかまわないと、多くのアメリカ人が思っている。食品産業界は、調理という過程を工業化させることをひたすらに宣伝し、推し進めてきたのである。

 それでは、食事の支度を他人に任せたおかげで得られた時間は、どう使われているのだろうか?仕事・通勤・ネットサーフィン・テレビ・・・あろうことか、テレビで他人が料理するのを見ることにあてられているのである。

 料理を文化として考えるならば、料理をする習慣が衰退していったせいで現代人の生活に大きな悪影響が出てくるのではないだろうか?料理をしなくなることで健康を害してしまう可能性もあるだろう。2003年のハーバード大学の経済学者グループは、アメリカで肥満が増えているのは、工業的に生産された加工食品の増加が原因であると結論付けた。また、同じ研究グループは、複数の文化圏で調理のパターンを調べ、自宅での調理に時間をかける国の方が、肥満の発生率が低いことをつきとめた。また、別の研究では、日常的に料理をする貧しい家庭の女性の方が、料理をしない裕福な女性よりも健康的な食生活を送る傾向があると指摘している。

 つまり、調理というのは非常に大切な行為なのである。これは驚くような話ではない。企業に食品の調理を任せた場合、砂糖・脂肪・塩がふんだんに加えられる。この3つの味には人間は抗いがたい魅力を感じるようにプログラムされている。このため安いコストで加工食品の欠点を隠してしまうことが可能である。ひとたびこのような状態に陥ったアメリカ人の食生活を健全なものに戻すためには、非常に大きな労力が必要である。
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 これを読んで、なるほどと思いました。もう随分前になりますが、私はイギリスのスーパーマーケットに入ったことがあります。そこは店舗の半分が冷凍食品売り場という、驚くべきものでした。イギリスも肥満対策で苦慮している国だと聞きます。

 ところで今年の年明けに、九州大学のグループが面白い研究をしていることを知りました。ショウジョウバエという蝿がいます。この仲間は発酵した果実によく集まってくるんですが、不足した栄養素を補うように食の好みを変化させる能力をもっているそうです。私たち人間は、かなり自覚しないと正しいバランスの食生活は出来ません。特にさまざまな加工食品が氾濫している現代社会では、その魅力に負けてしまう場合もしばしばあります。そういう意味では蝿よりも私たちの方が健全な食生活をおくる能力に欠けているのかもわかりませんね。

 個々人が美味しいと思う料理は、経験に左右されます。改めて食事・料理の重要性に気が付いた次第です。私も便利さに負けてカップ麺に手を伸ばしたり、JALの飛行機に乗ると写真のようなビッグマックの無料券が当たることもあるのでちょくちょく食べるんですが、ほどほどにするように努めたいと思います。。。

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