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2013年2月14日 (木)

食べ物と料理(3) Food and cooking(3)

 聖バレンタインデーです。。。

 日本ではなぜかこの日はチョコレートが飛び交う日になってしまいました。いろいろいわれはあるようなんですが、このブログの中ではどうでもいいことです。それよりも、このしょぼい花を見てください。木の幹から直接小さな花が咲いています。

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このしょぼい花が実を結び、そのままどんどん大きくなります。

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 実はこれはカカオの木なんです。チョコレートは、このカカオを原料として作られます。カカオの果実は大きくなると20センチを超えるため、こんなのが木の幹から直接ぶら下がっていると、なんだか異様な風景です。もっともこのような果実の付き方は、熱帯植物ではよく見られ、専門用語では「幹生果(かんせいか)」などと呼ばれたりしています。

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 食に関する格言にはいろいろなものがありますが、「医食同源」という言葉もそのひとつかと思います。人間が健康を維持したり、病気から回復するため、薬と食品が同様な効果を持つという意味です。現在、広く一般的に知られている食べ物も、最初は薬用だったものがあります。チョコレートもそのひとつです。

 チョコレートはカカオの種子を発酵・焙煎し、砂糖、ココアバター、粉乳、香料などを混ぜて練り固めた食品です。でも、最初からこのような形で食べられていたわけではありません。もともと紀元前2000年頃から中央アメリカでカカオの栽培が始められ、薬用の飲み物として飲まれていました。マヤやアステカといった、失われた文明の地域が原産地と言われています。その後、数千年にもわたり、チョコレートはずっと薬用の飲み物でした。当初はトウガラシなどを加えられていたようです。

 カカオをヨーロッパに紹介したのは、コロンブスです。1492年と伝えられています。その後、カカオの苦味を打ち消すためにトウガラシの代わりに砂糖を入れるようになり、薬から徐々に嗜好品へと姿を変えていきました。そして17世紀半ばにはイギリスまで達しますが、まだチョコレートは飲み物のままで、しかも王侯貴族や富裕層が飲む、贅沢な飲み物でした。

 チョコレートが今のような固型になるのは、19世紀に入ってからなので、飲み物としての歴史の方がはるかに長いです。19世紀には様々な技術革新が起こりました。1828年にはオランダのバン・ホーテン氏が工業的な加工方法を考案し、1847年にはイギリスのジョセフ・フライ氏が固型チョコレートを発明し、1875年にはスイスの薬剤師アンリ・ネスレ氏がミルクチョコレートを開発します。こうした発明によってさまざまな固型のチョコレートが工業的に大量生産され、食品産業として重要な地位を占めるようになりました。

 非常に面白いのは、チョコレートの国別の生産量と消費量で、お国柄がよく現われています。まず、国別の生産量です。日本が7位と、結構頑張っています。

年間チョコレート生産量(2009年、単位:トン)
――――――――――――――――――――
1 アメリカ合衆国          1,569,490
2 ドイツ                      1,214,490
3 イギリス                     532,350
4 ブラジル                    517,300
5 フランス                     404,880

6 イタリア                     276,900
7 日本                         233,880
8 ポーランド                  220,000
9 ベルギー                   191,530
10 スイス                      139,965

11 スペイン                   115,945
12 スウェーデン               52,282

 次は国別の消費量です。

年間一人当たりチョコレート消費量(2008-2009年、単位、kg)
――――――――――――――――――――
1 スイス                      11.7
2 ドイツ                       11.4
3 イギリス                    10.9
4 ノルウェー                  9.8
5 デンマーク                  8.6

6 オーストリア                7.9
7 フランス                      7.4
8 フィンランド                 7.0
9 ベルギー                    6.8
10 スウェーデン              6.6

11 オーストラリア            6.0
12 アメリカ合衆国           5.3
13 イタリア                     3.3
14 スペイン                    3.3
15 アイルランド               3.3

16 日本                         2.2

 いかがでしょうか。意外な国が結構多かったりします。あなたも今の5倍くらい、チョコレートを食べてみますか?( ´艸`)

 ところで、カカオの生産量が多い国をリストアップしてみますと、また別の観点でチョコレートを眺めることが出来ます。

年間のカカオ生産量(2010年、単位:トン)
――――――――――――――――――――
1 コートジボワール         1,240,000
2 インドネシア                  810,000
3 ガーナ                         630,000
4 ナイジェリア                  430,000
5 カメルーン                    260,000

6 ブラジル                      230,000
7 エクアドル                    130,000
8 トーゴ                          100,000
9 パプアニューギニア         60,000
10 ドミニカ                         50,000

 カカオは熱帯でしか育たない作物なのですが、西アフリカ諸国が全体の約7割を占めます。また、非常に貧しい国が目立ちます。特にコートジボワールの生産量が多く、全世界の合計384万トンのうち、ほぼ3分の1です。いずれにせよ、日本とは縁が薄い国が多いです。

 これらの国々のカカオ農園は家族経営の小規模なものが多く、非常な低賃金で農園労働者を雇っています。その賃金は年収で1万円そこそことのことです。さらに問題なのは児童労働が多いと言われていることです。このため、フェアトレード チョコレート(児童労働に頼らないで作ったチョコレート)などというものが販売されていたりします。しかしこれは両刃の剣。働けるカカオ農園が無いと、子供たちは生きていけないという、ジレンマもあります。

 国際的に取引される農産物というのは、いろいろな問題を抱えています。カカオ以外にもバナナやサトウキビ、大豆、とうもろこし・・・いずれも裏側にはかなりどろどろした問題が隠れています。そのうちまた、そんなお話も載せてみたいと思っています。

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